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『ぽこ あ ポケモン』レビュー:対戦脳を「アンインストール」したら、道路工事の沼に落ちた話

ゲーム評価

『ぽこ あ ポケモン』は、2026年3月にNintendo Switch 2向けに発売されたポケットモンスターシリーズのスピンオフです。開発はゲームフリークと、サンドボックス開発の知見を持つコーエーテクモゲームスのオメガフォースが共同で手がけています。任天堂の完全内製ではなく、いわば「餅は餅屋」で組んだタイトルというのが個人的に興味深いポイントです。

主人公は人間に変身したメタモン。他のポケモンたちの技を真似ながら、荒廃した街を少しずつ復興していくスローライフ・サンドボックスゲームです。

対戦にどっぷり浸かっていると、脳は休む間もなく計算をし続けています。頭の中にあるのは、いつも「勝ち」か「負け」かというシビアな結果です。盤面の前では、いつも頭のどこかがフル回転しています。(いつもは対戦ばかりしています)

そんな脳を、きれいに休ませてくれた一本でした。今回はそのプレイ記録を書いていきます。

1. ポケモン=「バトル」をアンインストール

『ぽこ あ ポケモン』には、HPバーもタイプ相性表もありません。あの緊張感のある「たたかう」コマンドすら存在しません。主人公は人間に変身したメタモンで、目的は敵を倒すことではなく、荒れ果てた街を元に戻すことです。

やることは、水をやり、草を生やし、壊れた小屋を直す作業だけです。誰にも採点されない時間は、対戦でずっと自分の一手を評価され続けてきた頭にとって、ちょうどいい休憩になります。

「捕獲する」ではなく「真似て、友達になる」

もうひとつ良いのが、ポケモンとの関係の作り方です。このゲームでは、モンスターボールを投げて「捕まえる」場面が一度も出てきません。代わりに、メタモンとして相手の技――このは、みずでっぽう――を見て覚え、真似することで、できることが少しずつ増えていきます。

捕まえて図鑑を埋めていく快感とは違う、生活の中で少しずつ仲良くなっていくような満足感があります。対戦で「ポケモンを駒として動かす」ことに慣れきった頭には、これが地味に新鮮でした。

2. サンドボックスなのに「ゼロから作る」を要求されない

サンドボックス系のゲームには、よくある壁があります。「何を作ればいいか分からない」というやつです。正直に言うと、僕はイメージする力があまりなく、真っ白な土地を渡されて「自由にどうぞ」と言われると、何を作ったらいいか分からなくなることがよくあります。

このゲームがうまいのは、最初から「荒れた街」が用意されている点です。何もないところから作るのではなく、壊れたものを「直す」ことから始まります。目の前の壊れた小屋、枯れた花壇、途切れた道を、一つずつ直していけばいいだけです。何を作るか悩む必要がないので、気軽に始められます。

問題は、この「直す」作業に、終わりの基準がないことです。

家を一軒も建てずに、道路だけ敷き直した週末

素材集めが簡単なので、花壇をちょっと直すつもりで木を切りに行ったはずが、気づくと「この街の道、もっと効率よく作れるのでは」と考え始めている自分がいます。

実際、ある週末は家を一軒も建てないまま、街中の道をすべて作り直すことに時間を使ってしまいました。ポケモンセンターを直すという本来の目的は放ったらかしで、頭の中は道の舗装とその素材のことでいっぱいでした。誰も見ていない道の美しさに、なぜあそこまでこだわってしまったのか、自分でもよく分かりません。対戦のパーティ作りで「無駄のない編成」を求め続けてきたクセが、変なところで出てしまったのだと思います。

©2026 Pokémon. ©1995-2026 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
©2026 KOEI TECMO GAMES
ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの商標です。

こういう道の歪が気になってしょうがない・・・・

3. モチベーションカーブの管理が上手い

わざを覚えるシステムには、実は偏りがあります。序盤は出会うポケモンが多く、次々に新しいわざを覚えられて楽しいです。でも終盤になると、覚えるわざが減り、そのぶん「レベルアップした」感覚も薄れていきます。ここだけ見ると、中盤以降に飽きやすい作りとも言えます。

でも実際に遊んでいると、その物足りなさを「新しい土地」が補ってくれます。わざを覚える楽しみが減ってきた頃に、新しい土地という別の楽しみが出てくる仕組みです。対戦でレギュレーションが変わると新しい構築を考えたくなるのと、少し似ています。わざを覚える楽しさが落ち着いてきたタイミングを見計らって、次の楽しみを渡してきます。このバランス感覚は、地味だけどよくできています。

楽しさ(イメージ)
プレイ初期   中盤   終盤
わざ習得の楽しさ 新しい土地の楽しさ

※積み上げた高さ(=感じる熱量の合計)がほぼ一定になるよう、体感でイメージ化したものです

4. たどり着く先は「まっさらな街」――徹底的な自由

街を直し続けていると、いつの間にか素材の集め方や街の整え方が体に染みついています。「まっさらな街」――何もない土地から自由に街を作れるコンテンツ――は、実はいつでも行けます。それでも、既存の街を直す練習をひととおり終えたタイミングで足を運ぶと、一番気持ちよくハマります。

遊び方の型が体に入っているぶん、何もない土地を前にしても迷いません。ゼロから作るのが得意な人も、僕のように「直す」ことから始めたい人も、同じように満足できます。この距離感の作り方は、地味によく考えられています。

下手な僕でもこんな町並みができました。

©2026 Pokémon. ©1995-2026 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
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5. 読み合いに疲れたら、起動するべき一本

このゲームは、ポケモン対戦の箸休めとして使うのがちょうどいいと思っています。甘いお菓子ばかり食べているとしょっぱいものが欲しくなるように、対戦で頭を使い切ったら、次は街づくりで頭を切り替えます。そうやって交互に楽しむと、どちらの味も飽きずに楽しめます。

このゲームのいいところは、スローライフの中に「整地の沼」という、対戦とは別の沼を用意しているところです。誰も採点しない道の効率化にムキになり、誰とも競わない街の区画整理に夢中になります。勝ち負けはないのに、対戦で使っていた考える力の出しどころは、ちゃんと残っています。

読み合いに疲れたら、街づくりで頭を休ませます。街づくりに飽きたら、また対戦に戻ります。甘いお菓子としょっぱいお菓子を交互につまむような感覚で、この一本を起動するのがちょうどいいです。

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